はじめに:なぜ古物商許可が必要なの?
メルカリで不用品を売却して利益を得る方が増えていますが、「中古品を売るには古物商許可が必要なのでは?」と考えられる方もいらっしゃると思います。
結論から言うと、多くの方がメルカリで行っている「不用品の売却」には、原則として古物商許可は不要です。しかし、営利目的の「転売ビジネス」を行う場合は、許可が必要となります。
この許可は「古物営業法」という法律に基づいています。この法律の目的は、盗品などの不正に取得された品物が市場に流通するのを防ぎ、万が一流通してしまった場合にも、その経路を速やかに警察が把握できるようにすることにあります。そのため、中古品を「買って(仕入れて)、売る(転売する)」という行為を事業として行う方に対して、公安委員会(警察)の許可が義務付けられているのです。
このブログでは、メルカリを利用する際に古物商許可が「必要なケース」と「不要なケース」を、具体的な事例を交えてわかりやすく解説します。
古物商許可が「不要」なケース
古物商許可が不要となるのは、基本的に「営利目的で古物を仕入れて販売する」という行為に該当しない場合です。具体的な事例を見てみましょう。
事例1:自分の「不用品」を売る場合
これが最も一般的なケースで、許可は不要です。
・2年前に自分で使用するために購入したスマートフォンを機種変更に伴い売却した。
・サイズが合わなくなった衣類や、読み終わった本、一度も使用しなかった贈答品などを売却した。
もともと自分で使う目的で購入したものを、不要になったから売るという行為には「事業性」がないと見なされます。この場合、たとえ販売で利益が出たとしても、古物営業法の規制対象外です。
事例2:無償(無料)で譲り受けたものを売る場合
無償で手に入れた品物を売る場合も、原則として許可は不要です。
・友人から「もう使わないから」と無料で譲り受けたゲームソフトを売却した。
・家族の遺品整理で出てきた骨董品などを売却した。
古物営業法で規制されるのは、「買取り」という対価を支払って古物を「仕入れる」行為です。無償で譲り受ける場合は、この「仕入れ」という概念が発生しないため、許可は不要です。
事例3:新品や自分で作ったものを売る場合(例外あり)
中古品ではないものや、自分で製造したものを売る場合も許可は不要です。
・お店で新品として購入したものを、開封せずにそのまま売却した。(例:限定品のトレーディングカードなど)
・自分で制作したハンドメイドのアクセサリーや小物などを売却した。
古物営業法でいう「古物」とは、「一度使用された物品」や「使用されないまま時が経過し、新品として扱えない物品」、そしてこれらを「仕入れた」ものを指します。新品を仕入れて売る場合は、古物営業法の規制対象外です。ただし、中古品を仕入れて、未使用・未開封のまま転売する場合は、その仕入れた時点ですでに古物であるため、許可が必要です。
古物商許可が「必要」なケース
メルカリを本格的な「事業」として利用し、継続的かつ営利目的で中古品の売買を行う場合は、古物商許可が必須となります。
事例1:転売目的で中古品を仕入れて売る場合
「利益を出すこと」を目的に中古品を仕入れる行為は、古物営業法上の「古物商」に該当し、許可が必要です。
・リサイクルショップやネットオークションなどで安価な中古品を買い集め、メルカリで利益を上乗せして継続的に売却している。
・動作確認済みのジャンク品を安く買い取り、自分で修理・クリーニングをして付加価値をつけ、メルカリで販売している。
・海外から輸入した中古品を、日本国内で販売するために仕入れている。
「中古品を購入する」時点で、あなたの目的が「自分で使うこと」ではなく「メルカリで売って利益を得ること」であるならば、それは「仕入れ」とみなされ、許可が必要となります。
事例2:売買を代行し、手数料を得る場合
自分で品物を仕入れなくても、他人の古物を販売する手助けをして、その対価として手数料を受け取る場合も許可が必要です。
・友人から「私のブランドバッグを売ってほしい」と頼まれ、メルカリで売却し、売上から手数料を差し引いて知人にお金を渡した。
これは「委託販売」という行為に該当し、古物営業法の規制対象となります。
事例3:メルカリShopsで中古品を販売する場合
メルカリの個人間取引ではなく、「メルカリShops」を開設して中古品を販売する場合、企業・個人事業主問わず古物商許可の取得と、許認可証の提出が必須です。
メルカリShopsは、事業者が継続的に販売を行うことを前提としたサービスであり、中古品(古物)を扱う場合は、許可が必要とされています。
「私物」と「事業」の曖昧な境界線:判断の注意点
「自分で使う目的で購入した」はずが、あまりに頻繁に、大量に品物を販売していると、警察から実質的に転売目的の仕入れではないかと疑われるリスクがあります。
例えば、毎月のように大量の服(中古)をメルカリで買っており、それをほとんど着ずにすぐに販売している、といった実態がある場合、それは「転売目的の仕入れ」と判断される可能性があります。
判断の基準は「継続性」と「営利性」です。「不用品の整理」は一過性のものであるのに対し、「事業」は継続的かつ反復して行われるものです。
- 不安な場合のセルフチェック
- その商品を「売って利益を得ること」を目的に買いましたか?
- その売買を継続的・反復的に行っていますか?
一つでも「はい」がある場合は、古物商許可の取得を検討すべきでしょう。
まとめ
自分で使用していたものを売却する分には、原則として古物商の許可は必要ありません。しかし反復して継続的に大量の売却で利益を得ているとなると、事業とみなされて許可が必要となることもあります。
古物商許可を取得せずに、営利目的で中古品の転売を継続した場合、「無許可営業」として古物営業法違反となり、「3年以下の懲役または100万円以下の罰金、もしくはその両方」という重い罰則が科せられる可能性があります。
「自分は大丈夫だろうか?」とご不安な方や「今後、本格的にメルカリでの販売を事業として展開したい」とお考えの方は、ぜひ行政書士等の専門家にご相談ください。当事務所ではお客様の具体的な販売方法や頻度をヒアリングし、古物商許可の要否を正確に判断いたします。また、許可が必要な場合は、複雑な申請手続きを代行し、安心してビジネスをスタートできるようサポートいたします。
まずはご相談だけでも構いません。
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