個人間の自動車譲渡手続き、本当に大丈夫ですか?
「友人から車を譲り受けた」「インターネットで知り合った方に車を売却した」といった個人間での自動車の売買や贈与は、身近な取引ですが、実は非常に重要な法的手続きが伴います。
「名義変更(移転登録)くらい、自分でできるだろう」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、その手続きは想像以上に複雑で、時間と手間がかかり、何よりも大きなリスクが潜んでいます。
今回は、個人間の自動車譲渡に際して、なぜ行政書士に依頼すべきなのかを解説します。
自動車譲渡手続きの複雑さ
自動車の名義変更手続きは、単に書類を数枚提出すれば終わるというものではありません。そこには、以下のようないくつもの難関があります。
1.必要な書類の収集と作成の煩雑さ
譲渡手続きには、旧所有者と新所有者双方の印鑑証明書、譲渡証明書、委任状、新所有者の車庫証明書など、多くの書類が必要です。
- 有効期限のチェック(特に印鑑証明書): 公的書類には有効期限があり、期限切れの場合は再取得が必要です。
- 押印と署名の正確性: 1文字でも間違えれば書類は却下。特に実印の押印ミスは致命的です。
- 新所有者の住所・氏名の確認: 住民票と印鑑証明書、車検証の記載がすべて一致している必要があります。
これらの書類に不備があると、陸運局(運輸支局・検査登録事務所)に何度も足を運ぶことになり、貴重な時間を浪費してしまいます。
2.平日の日中に陸運局への出頭
手続きの受付は、全国どこの陸運局でも平日の日中(主に午前8:45~11:45、午後1:00~4:00頃)のみです。会社員や自営業の方が、この時間に手続きのために仕事を休むのは大きな負担です。
行政書士に依頼すれば、お客様ご自身が陸運局に行く必要は一切ありません。すべての手続きを代行するため、お客様は仕事や家事に専念できた上で、スムーズに名義変更を完了できます。
名義変更の遅れが引き起こす重大なリスク
行政書士に依頼するメリットで、名義変更の遅れや不履行が引き起こす法的・金銭的リスクを完全に回避できるという点があります。
1.旧所有者(売主・譲渡人)様のリスク
名義変更が完了する前に、新所有者(買主・譲受人)が事故を起こしたり、交通違反をしたりした場合、旧所有者様のもとに通知が届く可能性があります。
- 自動車税の納税義務: 毎年4月1日時点の車検証上の所有者に課税されます。名義変更が遅れると、知らないうちに翌年度の自動車税の請求が旧所有者に来てしまいます。
- 放置違反金・交通事故の責任: 駐車違反の通知や、最悪の場合、重大な人身事故を起こした際の責任を問われるリスクもゼロではありません。
「名義変更をお願いします」という口約束だけでは、これらのリスクは解消されません。行政書士に依頼することで、確実かつ速やかに名義変更を完了させ、「責任の所在」を明確にすることができます。
2.新所有者(買主・譲受人)様のリスク
- 任意保険のトラブル: 名義変更が済んでいないと、任意保険の切り替えがスムーズに行えない場合があります。万一の事故の際に、保険金が下りないなど、深刻な事態に発展する可能性があります。
- リコールの通知: メーカーからのリコール通知が、旧所有者のもとに届き続け、重要な整備情報を見落とすことになります。
「丁種封印」で対応可能
行政書士に依頼する最大のメリットの一つが、「丁種封印(出張封印)」の活用です。
1.「封印」とは?
自動車の後部ナンバープレートの左上には、アルミ製の小さなキャップのようなものが取り付けられています。これが「封印」です。これは、その車が国に登録された「間違いのない車両」であることを証明する重要なものです。
通常、名義変更でナンバープレートが変わる場合(管轄の陸運局が変わるとき)、この封印を取り付けるために、平日に新所有者が陸運局に車両を持ち込む必要があります。
2.丁種封印(出張封印)とは?
丁種会員となっている行政書士は、お客様の自宅や駐車場など、どこでも現地で新しいナンバープレートの取り付けと封印を施すことが認められています。これが「丁種封印(出張封印)」制度です。
- お客様のメリット
- 陸運局への車両持ち込みが不要: 新所有者が平日に陸運局に出向く手間と時間を完全にカットできます。
- 全国どこでも対応可能: たとえ新旧の所有者の居住地が遠方であっても、行政書士がすべての書類手続きと、新所有者様の自宅での封印作業を完結させることができます。
特に、インターネット取引などで遠方の方との譲渡の場合、この丁種封印サービスは手続きを完了させるために非常に便利です。行政書士は、この特別な制度を活用し、お客様の手間を最小限に抑えます。
出張封印については別記事(note)に詳しくまとめていますので、ぜひご参照ください。

まとめ
個人間の自動車譲渡は、譲渡証明書にハンコを押して終わりではありません。行政書士に依頼することは、単に手続きを代行してもらうだけでなく、法的なリスクからの解放と貴重な時間の確保という、非常に大きなメリットがあります。
「個人間の譲渡で、どう手続きを進めたらいいかわからない」「平日になかなか休みが取れない、時間がない」といったお悩みがありましたら、ぜひご相談ください。
当事務所では埼玉県越谷市を中心に埼玉県全域で対応いたします。
遠方でも対応できることもありますので、お気軽にご連絡ください。
