前回の記事では、経営陣の経験を問う「経営業務管理実施体制(経管)」について解説しました。

しかし、経営業務の管理責任者がいるだけでは建設業許可は下りません。もう一つの大きな柱が「営業所技術者(旧:専任技術者)」です。
令和6年4月の法改正により、名称も新たに定義されたこの要件。「資格さえあればいいんでしょ?」と思われがちですが、実は実務経験の証明や、現場の配置技術者との兼ね合いなど、非常に「ややこしい」ルールが詰まっています。
今回は、この営業所技術者の要件と、申請時に突きつけられる「証明の壁」について詳しくお話しします。
営業所技術者とは何か?
営業所技術者とは、その営業所に常駐し、請負契約の締結や入札への参加にあたって、技術的な判断を下す責任者のことです。
簡単に言うと、「その工事のプロが、常に事務所にいて技術的なチェックをしていること」が求められます。
専技になれる人の条件
以下のいずれかに該当する必要があります。
- 指定の国家資格を持っている:(1級・2級建築施工管理技士、建築士など)
- 指定学科を卒業し、一定の実務経験がある:(大学・高専卒なら3年、高校卒なら5年以上)
- 10年以上の実務経験がある:(資格や学歴を問わず、10年以上の経験がある場合)
「10年やってるから大丈夫!」と安心される方も多いのですが、実はその証明がとても難しいのです。
「10年の実務経験」証明は、想像以上に過酷です
資格を持っていない場合、過去10年分の実績を書類で証明しなければなりません。埼玉県の審査では、主に以下の書類が求められます。
① 10年分の「経験」を裏付ける書類
注文書、請負契約書、または請求書(+入金通帳): 10年分、つまり120ヶ月分の期間をカバーするように書類を揃える必要があります。
「1年に1件あれば良い」とされる自治体もありますが、埼玉県では期間に連続性が求められるケースが多く、10年分となると数百枚の書類を精査することになります。
② その期間の「在籍」を裏付ける書類
10年前から現在まで、その会社(または個人事業)で働いていたことを証明する「厚生年金被保険者記録回答票」や「確定申告書の控え」などが必要です。
「昔の会社での経験を合算したい」という場合、前の会社から実務経験証明書に実印をもらい、印鑑証明書まで提出してもらう必要があります。退職した会社と連絡が取れない、あるいは関係が悪化している場合、この時点で許可取得がストップしてしまうのです。
「専任」という言葉の重みと、法改正の注意点
令和6年の改正で「営業所技術者」と名称が変わった通り、この技術者は「営業所に常駐」していなければなりません。
現場の技術者(主任技術者・監理技術者)との兼任は?
原則として、専技は「営業所」にいる必要があるため、「現場の技術者」にはなれません。
ただし、以下の条件をすべて満たす場合に限り、例外的に兼任が認められます。
- その営業所で契約した工事であること
- 現場が営業所から近接(概ね通勤圏内)していること
- 現場に専任を要する工事(一定金額以上の公共工事や重要な民間工事)ではないこと
この「兼任の可否」を誤ると、許可は取れても「いざ工事」という時に配置できる技術者がいなくなり、コンプライアンス違反(名義貸しや不適切配置)を招く恐れがあります。
行政書士に依頼するメリット:技術者要件の「最適化」
専技の申請をプロに任せるべき理由は、単なる書類作成代行だけではありません。
① 最適な「業種」の選択をアドバイス
例えば「大工工事」で10年の証明をするのが難しい場合でも、書類を精査すると「内装仕上工事」や「解体工事」なら証明しやすい、といったケースがあります。どの業種で、どの資格・経験を使うのが最も効率的かを戦略的に判断します。
② 「通る書類」への磨き上げ
10年分の請求書があっても、工事内容の書き方が曖昧だと「これは建設業の工事として認められない」と役所に却下されることがあります。行政書士は、過去の審査事例に基づき、認められやすいキーワードや補足資料を準備します。
③ 許可取得後の「技術者管理」もサポート
技術者が退職してしまった場合、2週間以内に後任を届け出なければ許可が取り消されてしまいます。当事務所では、取得後も許可を維持するための支援を行います。
まとめ
「資格はないけれど、腕と経験には自信がある」 「やることが多く複雑で、どこから手を付けていいか分からない」
そうした越谷市、埼玉県、千葉県、東京都の建設業者様、ぜひ一度当事務所へご相談ください。
段ボール数箱分の請求書を一緒にお調べし、許可への道筋を見つけ出します。
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