建設業を営む方にとって、避けて通れないのが「許認可」の問題です。
特に電気工事に携わる場合、よくある誤解が「建設業許可(電気工事業)を取っているから、もう手続きは完了だ」という思い込みです。
実は、電気工事の世界には「建設業法」とは別に「電気工事業法」という法律が存在します。これを知らずに施工を行うと、知らぬ間に法令違反となってしまうリスクがあります。
今回は、電気工事業登録が必要になるタイミングや、建設業許可との関係性について解説します。
なぜ「建設業許可」だけでは足りないのか?
まず整理しておきたいのが、2つの制度の目的の違いです。
- 建設業許可(建設業法): 「適正な工事の請負」を目的としたもの。
- 電気工事業登録(電気工事業法): 「電気工事の施工の安全」を目的としたもの。
一言で言えば、建設業許可は「500万円以上の大きな工事を請け負うために必要」。対して電気工事業登録は、金額の多寡に関わらず、「電気工事を実際に安全に行うために必要」ということです。
たとえ500万円未満の軽微な工事であっても、他人の求めに応じて電気工事を「営業」として行う以上、原則として電気工事業法に基づいた登録(または届出)が必須となります。
電気工事業登録が必要になる4つのパターン
電気工事業法上の手続きは、「建設業許可の有無」と「扱う電気工作物の種類」によって、以下の4つに分類されます。
① 登録電気工事業者
- 対象: 建設業許可を持っていない。
- 内容: 一般住宅や商店(一般用電気工作物)などの工事を行う場合。
- 特徴: 5年ごとの更新が必要です。
② 通知電気工事業者
- 対象: 建設業許可を持っていない。
- 内容: ビルや工場(自家用電気工作物)のうち、500kW未満の設備「のみ」を扱う場合。
- 特徴: 更新制度はありません。
③ みなし登録電気工事業者(重要!)
- 対象: 建設業許可(電気工事業)を持っている。
- 内容: 一般用電気工作物を含む電気工事を行う場合。
- 特徴: 建設業許可を持っていれば「登録」は不要ですが、代わりに「電気工事業開始届出」という手続きが必要です。これを忘れているケースが非常に多いので注意しましょう。
④ みなし通知電気工事業者
- 対象: 建設業許可を持っている。
- 内容: 自家用電気工作物(500kW未満)のみを扱う場合。
手続きに必要な「主任電気工事士」の要件
登録(または「みなし登録」の届出)を行う際、最大のハードルとなるのが「主任電気工事士」の配置です。
建設業許可の「専任技術者」と似ていますが、要件が異なります。主任電気工事士になるには、以下のいずれかの資格が必要です。
- 第一種電気工事士(免状交付者)
- 第二種電気工事士 + 交付後3年以上の実務経験
実務経験の証明については自治体によっても違いがありますので、必ず担当窓口に確認しましょう。
【注意ポイント】
建設業許可の専任技術者は「1級電気工事施工管理技士」であれば実務経験なしでもなれますが、電気工事業登録の主任電気工事士には「施工管理技士」の資格だけではなれません。 必ず「電気工事士」の免状が必要です。
建設業許可(電気工事業)を新規取得した際の注意点
これまで「登録電気工事業者(①)」として活動していた方が、事業規模拡大に伴い「建設業許可(電気工事業)」を取得した場合は、手続きが少し複雑になります。
この場合、従来の「登録」を廃止し、新たに「みなし登録(③)」の届出を行う必要があります。
「登録証」から「届出受理証」に切り替わるイメージです。この切り替えを忘れると、行政庁の名簿が更新されず、コンプライアンス上の不備を指摘される可能性があります。
登録・届出を怠った場合のリスク
「小さな工事ばかりだから大丈夫だろう」と無登録で営業を続けると、以下のような深刻なリスクを背負うことになります。
- 罰則の適用: 1年以下の懲役または10万円以下の罰金(電気工事業法)など。
- 建設業許可への影響: 悪質な違反とみなされると、建設業許可の更新や新規取得の際の「誠実性」に疑問符がつく恐れがあります。
- 元請けからの取引停止: 近年、コンプライアンス意識の高まりにより、元請会社から電気工事業登録証の写しを求められることが一般的になっています。
まとめ
電気工事は一歩間違えれば火災や感電事故に直結する危険な作業です。
そのため、建設業許可とは別に、施工の安全を担保するための「登録」制度が厳格に運用されています。
「うちはどの区分に該当するのか?」「今の専任技術者は主任電気工事士を兼ねられるのか?」と不安に感じられた方は、ぜひ一度専門家へご相談ください。
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