埼玉県越谷市で行政書士として、建設業支援に力を入れている行政書士の小柳です。
今まさに、この記事を見ていただいている建設業者様は、「人手不足」と「生産性の向上」という、建設業の二大課題に直面されているのではないでしょうか。 越谷市周辺でも、「若手が辞めていく」「経験者が確保できない」「残業規制で現場が回らない」といった悲鳴をよく耳にします。
これらの課題を乗り越え、利益を確保するためには、もはや根性や気合だけでは限界です。「デジタル技術(DX)の導入」と「労働環境の劇的な改善」が必須となります。
しかし、初期投資の費用がネックで、一歩を踏み出せない経営者様も多いのではないでしょうか。
そこで今回は地域密着企画として、その投資負担を大幅に軽減する「補助金」に加え、安定的な資金繰りのための「埼玉県・越谷市の制度融資」情報をセットで活用する具体的な戦略をお伝えします。
「人を採る・残す」投資に使える補助金3選
補助金は、返済不要の資金です。特に「生産性向上」や「販路開拓」など、国や自治体が推奨する目的の投資に対して支給されます。
| 補助金名 | 目的・用途(建設業での具体例) | 補助上限額・補助率(目安) |
| ① ものづくり補助金 | 革新的なプロセス改善や機械設備導入 | 最大750万~数千万 (補助率 1/2~2/3) |
| ② IT導入補助金 | クラウド型勤怠・原価管理ツールの導入 | 数十万~450万円 (補助率 1/2~2/3) |
| ③ 小規模事業者持続化補助金 | Webサイト制作など販路開拓や小規模な設備投資 | 最大250万円 (補助率 2/3) |
建設業者としての活用ポイント
① ものづくり補助金(高額な設備投資)
- 用途: プレカット・プレハブ加工機の導入、高性能なICT建機(情報化施工)の購入、大規模な3次元測量機器の導入など。
- 戦略: 「DXによる工期短縮と残業代削減」を明確な目標として掲げることで、補助事業の必要性を強くアピールできます。
② IT導入補助金(DXの第一歩)
- 用途: クラウド型の勤怠・工数管理システム、図面・書類共有システム、電子契約システムなど。
- 戦略: これらの導入は、経審の評価項目(W点)の改善に直結します。
③ 小規模事業者持続化補助金(地域密着型の集客・販路)
- 用途: 越谷・春日部エリアに特化した「老朽化住宅診断サービス」の販促チラシ作成、ウェブサイト制作、小型ドローンの導入など。
- 戦略: 「地域の防災・減災対策リフォーム」をテーマに設定するなど、地域課題解決に貢献する形で申請することで、採択の可能性が高まります。
補助金は募集時期や公募内容についてしっかり確認して、余裕を持ったスケジュールで進めてください。
例えば③の小規模事業者持続化補助金は、第18回公募の受付締切は11月28日ですが、商工会議所等から事前に発行してもらう「事業支援計画書(通称:表4)」は、すでに11月18日で商工会議所の受付が締め切られています。
利用したい方は次回公募を見据えて、事業計画書の作成を始めておくと良いでしょう。
運転資金・設備資金の確保に役立つ「制度融資」
補助金は交付までに時間がかかりますが、融資は比較的迅速に資金を確保でき、金利優遇や信用保証料の優遇があるため、経営の安定化に不可欠です。
特に、越谷市や埼玉県が地元金融機関と連携して提供する「制度融資」は、一般のプロパー融資よりも有利な条件で利用できるケースが多いです。
(1) 越谷市の制度融資(小口・中口・起業家育成資金)
越谷市では、市内に事業所を持つ中小企業者向けに、埼玉県信用保証協会の保証付きで融資をあっ旋しています。
| 資金の種類 | 融資限度額(目安) | 資金使途 | 特徴(建設業者にとって) |
| 小口資金 | 2,000万円 | 運転資金・設備資金 | 小規模事業者(従業員20名以下)が利用しやすい。突発的な資金需要にも対応。 |
| 中口資金 | 5,000万円 | 運転資金・設備資金 | 比較的大きな設備投資や、公共工事増加による一時的な運転資金(つなぎ資金)に。 |
| 起業家育成資金 | 3,500万円 | 運転資金・設備資金 | 創業5年以内の若手経営者や、法人成りした一人親方などが利用可能。 |
・ポイント
- これらの融資は、越谷商工会議所や市役所で相談の上、金融機関に申し込む流れが一般的です。
- 低利であることに加え、信用保証協会の保証が得られるため、担保・保証人の負担が軽減される場合があります。
(2) 埼玉県の制度融資(経営あんしん資金・産業創造資金)
県レベルの制度融資は、より多様な目的や大規模な資金調達(数千万円~数十億円)に対応しています。
・活用例
- 経営あんしん資金: 原材料高騰や人件費の上昇の影響による利益率の減少に対応するための融資。
- 産業創造資金: 経営革新計画の承認を受けた事業者が、新事業に必要な設備投資を行う際に利用できる融資。BIM/CIM導入などDX推進に絡めて活用できる可能性があります。
限度額が大きい反面、融資条件が厳しくなるため、事業計画書はより綿密に作成する必要があります。
補助金・融資を有利に進めるための鉄則
補助金も融資も、行政や金融機関を納得させる「事業計画の説得力」が命です。
事業計画は「過去」ではなく「未来」を示す
融資では過去の実績(経審の財務点数など)が見られますが、補助金では「この資金で、将来どれだけ売上や利益が伸びるか」を具体的かつ論理的に示す必要があります。
補助金と融資の「合わせ技」を考える
- ものづくり補助金で最新のICT建機を導入する(初期費用を補助金で補填)
- その建機の購入資金(補助金で賄えない自己負担分)と、運用開始までのつなぎの運転資金を、越谷市の中口資金で調達する
このように、補助金と融資の役割を分けて計画することで、より確実かつ合理的な資金調達が実現します。
法令遵守の徹底が最重要
融資審査でも補助金審査でも、建設業許可や経審が適切に更新されているか、労働関係法令を遵守しているかは必ずチェックされます。日々の法令遵守(残業時間の適正管理など)こそが、公的資金調達の前提条件です。
最後に
越谷市周辺の建設業者様が、この厳しい時代を勝ち抜き、安定した収益を上げるためには、「行政手続きを適切に行うこと」と「公的支援制度を最大限に活用すること」が不可欠です。
当事務所では、補助金や融資で必須となる建設業許可の申請代行から、事業計画書の作成まで一貫してサポートいたします。厚生労働省の労務関係の助成金をご利用になりたい方には、提携の社会保険労務士をご紹介いたします。
「新しい設備投資をしたいが、資金計画に不安がある」、「どの補助金や融資制度が自社に最適か知りたい」といったご相談があれば、お気軽にお問い合わせください。
