【中小建設業】外国人採用の動向と成功のポイント

深刻な人手不足が続く日本の建設業界において、外国人材の採用は、もはや企業の存続と成長のための「必須戦略」となりつつあります。

特に、経営資源が限られる中小・零細規模の建設業者様にとって、外国人採用は大きな可能性を秘めていますが、同時に「手続きが複雑そう」「定着が難しいのでは?」といった不安もあることと思います。

今回は中小建設業における外国人採用の重要なポイントについてお伝えします。

目次

建設業界における外国人採用の動向と重要な制度

日本の建設業界は、少子高齢化に伴う担い手不足が極めて深刻です。若年層の入職者が少ない一方で、2024年問題や老朽化したインフラ整備などの需要が高まり、人材確保は喫緊の課題となっています。

このような背景から、外国人労働者の存在感は年々増しています。

1.急増する外国人労働者の現状

厚生労働省の調査によると、建設業で働く外国人労働者数は近年急増しており、2024年10月末時点では約18万人(前年比22.7%増)に達し、全建設業就業者に占める割合も3.7%を超えています。これは、全産業の平均割合を上回る数字です。

  • 特定技能の伸び:特に注目すべきは、「特定技能」で働く外国人の大幅な増加です。特定技能は、即戦力となる外国人材を受け入れるための在留資格であり、建設分野では前年比100%以上の増加(特定技能1号・2号合計)を記録するなど、人材確保の主軸となりつつあります。
  • 主な出身国:出身国別ではベトナムが最多で、次いでインドネシアが大幅に増加しており、この2カ国で約6割を占めています。
  • 在留資格の構成:建設業で働く外国人材は、「技能実習」が約5割を占めていますが、「特定技能」が急速にその割合を拡大しています。

2.採用する上で重要な2つの制度

外国人採用の今後を考える上で、特に重要な二つの制度の動きがあります。

  1. 特定技能2号の無期限化: 特定技能2号は、熟練した技能を持つ外国人材が取得できる在留資格です。在留期間の更新上限がなくなり、実質的に無期限の雇用が可能となっています。
    また、家族の帯同も認められるため、労働者の定着率向上に大きく寄与することとなりました。中小企業でも長期的に技術継承を担う外国人の「職人」を育成しやすくなります。
  2. 技能実習制度から「育成就労制度」への移行: 現在の「技能実習制度」は、2027年度を目途に、人材育成と人材確保を目的とした新しい制度「育成就労制度」へ移行する見込みです。この制度では、現在原則禁止されている転籍(転職)が一定の条件付きで可能になる方向で調整されており、外国人労働者にとってより魅力的な制度になる一方、企業にとっては労働者の定着に向けた努力がこれまで以上に求められることになります。

中小建設業者が外国人採用を成功するための実践的ポイント

中小建設業者にとって、外国人採用を成功させる鍵は、「採用前の準備」と「採用後の定着支援」の二つに集約されます。

1.採用前の準備:リスク管理とコスト効率化

外国人採用には、在留資格の確認や適切な労働条件の整備など、法令遵守が不可欠です。

(1) 在留資格の確認と法令遵守の徹底

外国人材を雇用する上で、最も重要なのは「就労可能な在留資格」を持っているかの確認です。在留カードの在留期間や就労制限を必ず確認しましょう。

  • 不法就労助長罪のリスク:もし不法就労者を雇用してしまうと、企業側も「不法就労助長罪」に問われ、厳しい罰則を受けるリスクがあります。採用プロセスにおいて、在留資格のチェックは絶対に怠ってはいけません。
  • 建設業特定技能受入計画の提出:特定技能外国人を雇用する場合、国土交通省に「建設特定技能受入計画」を提出し、認定を受ける必要があります。この手続きには、建設業許可や建設キャリアアップシステム(CCUS)への事業者登録が求められます。

(2) 採用方法の検討とコスト効率化

中小企業の場合、海外の送り出し機関や日本の登録支援機関を通じて特定技能人材を採用するのが一般的です。

  • 登録支援機関の活用:特定技能制度では、企業に外国人への生活オリエンテーションや公的機関への手続き支援など、「支援計画」の実施が義務付けられています。自社で全てを行うのが難しい場合は、「登録支援機関」に支援業務を委託するのが、コストと手間の両面で効率的です。

2.採用後の定着支援:現場と生活の両面サポート

外国人材の定着には、労働条件だけでなく、彼らが安心して働き、暮らせる環境を整えることが重要です。

(1) 多文化・多言語に対応した現場環境づくり

現場での指示が正しく伝わらなければ、施工ミスや、最悪の場合、重大な事故につながりかねません。

  • 多言語による安全教育:建設業は労災リスクが高いため、安全衛生教育は命綱です。指示は抽象的な表現を避け、多言語の図やイラスト、動作を交えて具体的な内容を伝えましょう。
  • 現場の日本人従業員の理解促進:外国人材を受け入れる意義を社内全体で共有し、文化や宗教、習慣の違いを尊重する風土を醸成しましょう。差別や偏見のない職場づくりが、定着率向上に直結します。

(2) 「同一労働同一賃金」の徹底

外国人労働者だからといって、日本人と同等のスキルや責任を持つ労働者と比べて、給与や待遇に差をつけることは法令違反となります。これは「技能実習」や「特定技能」だけでなく、全ての在留資格で厳守すべき原則です。外国人労働者の賃金は、日本人従業員と同等以上であることを必ず確認しましょう。

(3) 生活面での手厚いサポート

特に来日したばかりの外国人にとって、日本での生活は不安が多いものです。

  • 住居の確保とサポート:特定技能では、適切な住居の確保も支援義務に含まれます。アパートの契約サポートや生活ルール、ごみ出しなどのオリエンテーションは、生活の安定に不可欠です。
  • 日本語学習の機会提供:コミュニケーション能力の向上は、仕事の習熟度と定着率を大きく左右します。日本語教室の情報提供や、業務中に使える日本語を教える機会を設けるなど、積極的なサポートが必要です。

まとめ:外国人採用は「未来への投資」

建設業における外国人採用は、手続きの煩雑さや文化の違いから躊躇されることもあるかもしれませんが、適切な在留資格の選択、法令遵守、そして何よりも外国人材を「貴重な戦力」として迎え入れる体制を整えることが、人で不足の解消と今後の持続的な事業の発展に重要となります。

行政書士は、雇用する外国人材の就労ビザ申請、受入企業となるには必須となる建設業許可の取得、CCUS登録などを支援していします。

当事務所でもこうした支援を行っておりますので、埼玉県を中心とした関東一円の企業様はぜひご相談ください。
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